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世界経済のエンジンとブレーキ

世界経済が成長する時、そこには往々にして「牽引役」というものがいる。
僕はその牽引役を「エンジン」と喩えることが多い(おそらく僕だけでなくマーケットでは普通に使われている言葉だと思うが)。

以前のブログエントリーを読んでいただければわかるが、僕は昨年末から2012年の株式市場は堅調に推移すると言ってきた。
その時に考えていた世界経済のエンジンは、言わずもがな「各国の金融緩和期待」である。

世界経済の成長をアメリカの株価(S&P500種)で見てみよう。


(出所)Bloombergより筆者作成

直近10年超の期間をおおまかに見ると、山が2つあり今3つ目の山を形成しようとしている。
1つの目の山を形成した時のエンジンは「IT」である。
この時期に、今を代表するGoogleやAmazon、ebayなどの超優良企業が誕生している。

2つ目の山を形成した時のエンジンは「住宅」である。
当時のFRB議長のグリーンスパンによる魔法の杖により、低所得者層でも憧れのマイホーム購入が可能となり、空前の住宅バブルが起きた。

そして現在進行形の山の形成のエンジンは“今のところ”「金融緩和」による過剰流動性である。
このエンジンに操っているのは、各国中央銀行の総裁だが筆頭はバーナンキ議長で間違いない。

バーナンキ議長の思惑は、金融緩和を長期間にわたり徹底的に行い実体経済を浮上させることである。
現実に、アメリカの雇用は緩やかであるが改善傾向を見せている。今後も改善が続くかどうかは注目である。

しかし、マーケットや先進国の首脳陣(アメリカのオバマ大統領など)がこの局面で世界経済のエンジンとして期待しているのは、おそらく「中国」であろう。

当の中国は全人代で今後の国家戦略を打ち出している。その内容は下に書く通りだが、マーケットが期待しているエンジンになるつもりはさらさらないようだ。

中国が打ち出した国家戦略は、「低めの成長率、高めのインフレ目標率、小さな財政赤字」である。
具体的には、2012年のGDP成長率目標は+7.5%で以前の+8%から鈍化。
一方、インフレ目標は+4%で据え置き。
また、財政赤字はGDP対比1.5%と小幅にとどめている。

マーケットの期待は裏切っているが、個人的には妥当な戦略だと考えている。
大幅な財政出動をすればGDP成長率を8%超に持っていくことは可能だろうが、今の先進国が例外なく巨額の財政赤字で苦しんでいる現状を見て、誰が同じ道を歩もうと考ええるのか?

どんなお人好しだとしても、この痛んだ世界経済のために自分の身を切り世界のエンジンになろうと考える人は少ないだろう。ましてやあの中国なのだから、そんなことあり得るわけがない。

短期的な高成長よりも、持続可能な成長率を長期間維持する方が正しいと、先進国の先例を見れば誰の目から見ても明らかだ。

BRICsの名付け親、ジム・オニールも中国は+7.5%の成長を10年続ければ将来的に中国が世界を牽引するシナリオに陰りはない、と指摘している。

中国が世界経済のエンジンになることを降りており、欧州は見ての通り世界経済のブレーキとなっている。日本は依然デフレ経済から抜け出せていない。

こうなるとアメリカは自力で成長していくしかない。各国の金融緩和期待が剥げている状況で、今週末のアメリカの雇用統計で悪い数字が出れば、一気に世界経済を牽引するエンジンがなくなってしまう可能性もある。

そうならないためには、個人的には今週末の雇用統計では強い数字が出てほしいと心から願っている。

※もちろん、希望とポジションは同一であるとは限りません。


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  • 2014-07-01 06:08
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