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ユーロの未来は崩壊か減価の2択だけ?

僕はかねてからユーロ崩壊の可能性を説いてきた。
いまだに10年後にユーロがあるかと問われれば、存在しない可能性が高いと答えてしまいそうだ。
しかし、最近のマーケットを見ていると、少なくともこの1~2年でユーロが崩壊する可能性はあまり考えていないように見える。

直近でユーロ崩壊論が最も高まったのはイタリアの10年金利が7%を越えて推移し、イタリアもIMFの救済が必要になるのでは、と騒がれた時だと認識している。
しかし、下のチャートにあるようにイタリアの金利はその後落ち着きを取り戻している。
※アイルランドとポルトガルがイタリア・スペインに1年先駆けて危機に陥っているので、チャートはイタリア・スペインの金利を1年遅行させて作ってある。


(出所)Bloombergより筆者作成

アイルランドとポルトガルは10年金利が6%を越えるとマーケットに危機感が漂い7%を常時越えるようになるとIMFに救済を求めた経緯がある。
チャートのイタリアとスペイン金利の動きを見ると、10年金利が一時7%を越えてアイルランドやポルトガルと同じ道を辿るかと思いきや、再び5%台に押し戻されているのがわかる。
これはマーケットのユーロ存続を示唆した動きと考えることができる。

もう1つ、ユーロ崩壊論が高まった時の特徴的動きがある。
それは米独スプレッドの拡大である。つまり独債売り米債買いで、欧州から米国へ資金が逃避したケースである。


(出所)Bloombergより筆者作成

ご覧の通り、こちらも今は通常のレンジに戻っている。

これらのマーケットデータを見ると、マーケットが警戒していたユーロ崩壊論というのはほぼ消え去ってしまったといってもいいと判断できる。

しかし、僕が唱えるユーロ崩壊の背景はそもそも直近で起こるものではなく、長い期間にわたる中核国と周辺国のすれ違いによるところが大きいので、ユーロ崩壊の可能性が完全に消え去ったとは考えていない。

また、近い未来でのユーロ崩壊の可能性が消え去ったということは、同時にユーロが堅調に推移することを意味するのかと問われれば、僕は間違いなくNOと答えるだろう。

ユーロが今後も生きながらえることのできるただ1つの方法はユーロの減価だと考えている。
今年の世界経済は多くの人が予想するほど悲観する低成長ではないのではないか、という見方が最近徐々に増えてきている。
ご存知の通り、アメリカの雇用は予想以上の回復を見せ、中国のハードランディング懸念は後退している。東南アジア経済は中国の動向に左右されながらも、アジア通貨危機の経験が糧となり以前に比べてかなり危機への耐性が備わっていることが観測されている。

2012年は2011年に予想していた程最悪の年ではないようだ。
しかし、それは「欧州を除いて」という重要なキーワードがついてくる。

ギリシャの当面の問題を解決(先送り)したからといって、欧州銀行のデレバレッジ問題が解決するわけではない。欧州銀行の与信が拡大するわけではない。


(出所)欧州委員統計局、米国労働統計局より筆者作成

これはユーロ圏の国々と米国の失業率である。
ユーロ圏全体の失業率は10.4%、スペインに至っては22.9%である。
一方、実質ゼロ金利を実施している米国の失業率は一時より改善を見せてきて8.3%まで下がっている。8.3%まで改善を見せてもFedが金融緩和を緩める気配は感じられない。

ユーロ圏全体の10.4%という数字もさることながら、スペインの22.9%は先進国の中で異常な数字である。

明らかに欧州の現状の経済状況、今後の成長予測は他の地域に比べて低いわけなのだから、欧州の通貨、金利などはもっと下方向に調整をされなければ均衡は保てないだろう。

僕がユーロは崩壊するか減価するかの2択しか選択肢がないと思う理由はこういったところからきている。


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