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ギリシャ国民に委ねられた破綻の有無

1月16日のエントリー「欧州危機の主役に返り咲いたギリシャの問題」で書いた通り、1月後半から欧州の話題はギリシャ一色となった。

僕は随分前からギリシャのデフォルトを予想している。しかし、デフォルトの実現は政治的要因に左右されると指摘していた。(参照:「ギリシャのデフォルト時期はわからない」)。

ここ最近のEU首脳陣の発言を見ていると、どうやら首脳陣にギリシャをデフォルトさせてユーロ圏から追い出すという選択肢の優先順位はそれ程高くないように思える。
今やEUを支配しているドイツのメルケル首相は、ギリシャのユーロ圏維持を望むと頻繁に発言している。
結果的に、どんなにギリシャがごねても、合意された内容が実行される保証がなくても、土壇場になればEUはギリシャにお金を出す。これは、首脳陣がギリシャのデフォルトを望んでいない表れだろう。
今回の議論にしても、結局はEUがお金を出すだろう。

こうなると、ギリシャのデフォルトの可能性はギリシャ国民に委ねられたと考えることができる。
以前のブログ(「10年後にユーロは存在しているか」)で、僕は10年後のユーロの存在を否定している。
その理由を間接に述べると、ユーロ維持のためには救う者(ドイツなどの中核国)と救われる者(ギリシャなどの周辺国)のどちらかが痛みを被る、もしくは両者が痛みを被る必要があるが、長引く議論の過程で、両者がユーロを維持したいインセンティブが薄れていく、というものだった。
ここで言う救う者の痛みとは、どうしようもない国にお金を出さなければいけないことである。救われる者の痛みとは、緊縮財政、もっと言えば財政主権の剥奪である。

ここまでの議論を振り返ると救う者代表のドイツには痛み(資金拠出)を受け入れる用意があるように感じられる。しかし、ドイツは自分だけ痛みを被ることを選択するつもりはないようだ。

ギリシャ支援、ドイツが財政政策めぐる決定権委譲を要求

このニュースにあるようにドイツはギリシャの財政主権を奪おうとしている。

一方、ギリシャの首脳陣だが、もちろん首脳陣の立場としては国が破綻することはなんとしても逃れたい。ドイツの要求を呑まざるを得ない。
それは破綻によって失うものがあるからだ。

では、ギリシャ国民はどうだろうか。
ドイツの要求を受け入れれば厳しい緊縮財政(厳しいドイツの支配)が待ち受けている。
破綻を選べば自国通貨の暴落によるインフレで厳しい生活が待ち受けている。

どちらも厳しい未来だが、失うものが少ない一般庶民にしてみれば、0からスタートできる破綻という道の方が楽に映るかもしれない。

そういった考えの結果が、今ギリシャで起きている大規模な暴動ではないだろうか。

もはやギリシャのデフォルトの有無はギリシャ国民に委ねられている。EU首脳陣でいくら議論されて合意に達したと喜んだところで、それをギリシャ国民が受け入れなければ何も意味を成さない。

国とは首相や大統領のものではなく国民のものなのだから。


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