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ハンガリー問題から考えるユーロ存続への落とし穴

2012年になってもユーロは大荒れだ。
年が2012年になってまだ目立った悪材料が表面かしたわけではないが、ユーロは大きく下落してしまった。プチパニックのような気もしないでもない。

ユーロの上昇要因を見つけるのは本当に難しいが下落要因は次から次へと頭に浮かぶ、まさに多くのマーケット参加者がこのように考えているので、売りが売りを呼ぶのだろう。
(余談だが、日本の個人投資家はこの局面でユーロ円を買い増している。友人は少しばかり心配していた。)

EU首脳陣の頭を悩ませる問題として、年末あたりからハンガリーの話題が浮上してきた。
簡単にハンガリーの問題をまとめると以下の通りである。

IMFとEUは財政悪化が著しいハンガリーを支援するために、特別チームを組織してハンガリー入りさせていた。
しかし、ハンガリー最大与党が権利の乱用(IMF/EUが最も嫌っているのが中央銀行の独立性を毀損させる法案を通そうとしていること)しており、これを許容できないIMF/EUはハンガリー政府との支援交渉を打ち切り、ハンガリーから撤退してしまった。
ハンガリー政府の暴走を受けて、マーケットはハンガリー売りで反応して、ハンガリーの通貨フォリントは世界の全通貨に対して売られ、ハンガリー国債入札もキャンセルや減額する事態となっている。


ハンガリーはEU加盟国であるが統一通貨ユーロを使用していない。そして、ハンガリーへのエクスポージャーが高いのはオーストリアであり、ギリシャやイタリアへのエクスポージャーを抱えるフランスと比べると、それほど大きな問題ではない。

ハンガリーの問題自体は、ここまでユーロを下落させる問題ではないと個人的には考えている。

しかし、ハンガリーの問題は非常に重要な一例であると考えている。

ハンガリー問題で最も注目すべき点は「なぜハンガリー政府が暴走しているのか?もしくは暴走できるのか?」という点ではなかろうか?

自国財政が持続不可能であることは当の政治家も認識しているはずであり、支援が必要なのも認識しているはずである。それなのに、IMF/EUが撤退してしまうほどの強気な姿勢で交渉の場につけるのはなぜなのだろうか?

僕は、ハンガリーのような小国に強気な姿勢を許してしまうEUの構造がEUの最大の弱点であると考えている。

EUは財政規律を強化するためにEUの新条約を作成することを目指している。
また、EUの条約改正にはEU加盟国の全ての国の合意が必要となっている。

自分たちの合意がなければEUが目指す新条約作成を達成することができないのだから、これを交渉権にハンガリーは強気の姿勢で臨んでいるのではなかろうか。
支援してもらわなければ自国がデフォルトしてしまうが、無秩序にデフォルトしてしまえばEUの中核国(ドイツやフランスなど)も甚大な被害を受ける。
(EUやユーロを存続させたいのならば)最終的には、ドイツは周辺国を助けなければいけない。
こういった考え、いわばモラルハザードがハンガリーでは表面化しているように見える。

この考えを是とすると、これはギリシャやイタリアでも使えるカードになる。
ギリシャやイタリアがこのカードを使えば、もはやドイツにとってユーロを守るコストが増大してユーロを抜ける便益が大きくなるだろう。

厳しい財政規律を要求するドイツに対して、ギリシャやイタリアなどの周辺国が今後どのような態度を示すか、要注目である。


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  • 2017-05-23 00:55
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