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EUサミットでのイギリスの決断に対する見解

先日のEUサミットでの英国はEU条約の改正に対して拒否権を発動させ、EU加盟27カ国の内25カ国が合意すると言われている(※)財政協定にも参加しないことを明らかにした。
※実際には25カ国も合意しない可能性がある、と個人的に考えている。

サミット後のキャメロン首相の発言は印象的だ。
「提案された内容は英国の利益にならなかった」
「我々がユーロに参加していなくてよかった」

英国の決断は「EUの中で英国が孤立する」とネガティブな表現で翌日の新聞に書かれた。
しかし、僕が思うに、英国にとって財政協定に合意する理由はどこにも見当たらない。
キャメロン首相が言うように、英国の利益を考えれば当然の決断だろう。

英国はユーロを使っていないので昔からEU圏の国々と為替リスクを伴う貿易をしてきている。つまりユーロを存続させるメリットは存在しない。

また、英国の銀行はフランスの銀行とは異なり現状そこまで苦境に立たされていない。
前日のEBA(欧州銀行監督機構)の健全性テストの結果発表でも、欧州の銀行が追加で1530億ドルの資本増強が必要と判断された中、英国の銀行には追加の資本増強は必要なしと判断された。

たしかに英国の財政収支はあまり良くないが、公的債務の残高は他国に比べて多いわけではない上に、キャメロン首相は目下緊縮財政を進めている。

英国が、わざわざ何のメリットもなしに厳しい罰則がつく財政協定に合意する理由はどこにもない。

加えて、ドイツのメルケル首相は金融取引税の導入に前向きな考えを表明している。
欧州の金融マーケットの中心はシティであり、為替の取引量が世界で最も多いのもロンドン取引所である。金融を中心に繁栄している英国にとって、金融取引税の導入など検討の余地なし、といった事項であろう。

欧州から孤立して、米国との関係も薄れて、英国は世界の中で孤立していく、といった見解も聞かれたが、少なくとも今後も金融の中心がロンドンであることに変わりはないだろう。
むしろ、欧州が金融取引税などを導入したら、ますますお金はロンドンに流れることは明白である。

このように、英国が財政協定に合意することはメリットよりも圧倒的にデメリットが多い。

英国にとって今回の決断のマイナス事項は、今後EUの中で重要な役回りをドイツに持っていかれてしまう点だろう。
しかし、いつ潰れるかもわからないEUの権利のために、英国独自の国益を犠牲にする合理的理由はどこにも見当たらない。


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