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S&Pの格付け見直しはリクイディティ問題からソルベンシー問題に焦点を戻した

独仏首脳会合合意を経て醸成されていたマーケットの好感ムードを一気にぶち壊したのは、S&Pによるドイツを含むEU圏15カ国をネガティブウォッチにするという報道だった。

思い起こせばサブプライム問題の時から格付け会社の意義が議論されている。

しかし、幸か不幸か今回のネガティブウォッチ報道は、欧州危機問題をリクイディティの問題からソルベンシーの問題に焦点を戻したという効果をもたらした。

先日の6中銀協調でのドル資金供給対策により、欧州危機の問題がソルベンシー問題からリクイディティ問題へとすり替わった感があったので、方法はともあれ今回のS&Pの行動でソルベンシー問題へと焦点が再び戻ることは正しいことのように思う。


そもそも、リクイディティ問題とソルベンシー問題とはなんなのか?
citiの高島氏は前者を「ドル不足」の問題、後者を「ユーロ不足」の問題と喩えている。

リクイディティとは流動性、つまり資金繰りの問題である。金融機関は決済業務を行うわけだが、現金を常に自社の金庫に入れておくと金利もつかず勿体無いので、通常短期市場で運用し、決済期日に必要な資金量だけを短期市場で手当てしている。
その際、自社の信用が低いと短期市場での調達金利が高くなるわけだが、欧州危機のように危機が深刻になってくると、多くの安全な銀行は(危機の)渦中にある銀行とはたとえ短期間でも資金取引をしなくなることがある。
そうなると、渦中の銀行は決済期日までに必要額を調達できずに破綻に追い込まれることになる。これがリクイディティ問題である。
現在、グローバルの決済資金のほとんどがドルなので、高島氏はこれを「ドル不足」の問題と言っている。

一方、ソルベンシーとは最終的な支払い能力を指している。
国に借金の返済能力があるのか、というのがソルベンシー問題である。
欧州諸国はもちろんユーロで借金をしているので、その返済もユーロで行う。ギリシャなどはユーロが不足していたので借金返済が滞り立ち行かなくなってしまった。
つまり高島氏の言う「ユーロ不足」の問題である。


欧州危機の本質はもちろんソルベンシー問題であり「ユーロ不足」の問題である。
その副作用でリクイディティ問題(ドル不足問題)が生じている。
先日の、6中銀協調でのドル資金供給はリクイディティ問題に大きな効果を果たした。
しかし、マーケットの反応を見ていると、あたかも欧州危機の本質がソルベンシー問題からリクイディティ問題にすり替わり欧州危機が解決方向に向かったというムードが感じ取れた。

欧州危機の本質はあくまでソルベンシー問題である。
S&Pの行動は、やや刺激が強すぎて欧州高官やマーケット参加者からは批判を買ったかもしれないが、マーケットの焦点を本質に戻したという点では正しかったのかもしれない。


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  • 2014-07-01 05:49
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