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欧州危機を語る上で抑えておきたいポイント~ECB以外は欧州危機を救えない~

今、トレーダーが最も困っているのは、欧州危機が混迷を深めすぎて、何が起こればどうなるのか、がよくわからなくなってしまったことである。

だが僕が思うに、欧州危機を救うことができるとすればそれはECBのみだけだ。
EFSFのモデルや新首相がどうのこうのという話題は、もはや大した意味を持たない。

先日、以下のニュースが出てマーケットは一瞬好感したが、実は大した話ではない。

EFSF、債券の最高30%に保証付与か-ユーロ圏財務省会合で検討へ

EFSFの保障型のレバレッジ案は以前の記事で紹介した通り。
30%の保証をつけたところで、投資家からの需要を集められなければ意味がないわけで、ギリシャ国債を50%減免した事実からすると30%保証が投資家の安心感に繋がるのかは不透明だ。
もっと言えば、50%減免をしたギリシャ国債も、50%の損で済むのかどうかもわからない。

IMFがイタリアに6000億ユーロの支援検討、というニュースもマーケットに好感された。
このニュースにしても6000億ユーロもの大金が一体どこにあるというのだろうか。

IMFはユーロを守るための組織ではない。
既にギリシャ救済のために大金を出している上に、さらに6000億ユーロをEUのために使うとなれば、アメリカが黙っているはずがないだろう。


欧州危機を見る上で、抑えておきたい事実は以下の2つだろう。

1. 至急、大量の資金が必要であること
現状、周辺国債券の大量償還が控えており、マーケットをそれを嫌ってユーロ圏の債券に売りを浴びせている。人間で例えるなら出血が止まらない状態だ。止血できなければもちろん死んでしまう。止血するためには、大量のお金が必要である。

2. ユーロ存続のためには、財政の根本改善が必要であること
止血に成功したとしても、各国財政を根本から改善しなければ、問題は再発してします。長期的には所謂財政移転が必要である。

イタリアの大量償還が来年の2月に控えているわけだから、今は兎に角時間がない。
早急に大量の資金を集める必要がある。

IMFからの6000億ユーロの支援やEFSFのレバレッジ案などのニュースが、噂段階でヘッドラインに流れてしまうのは、タイムリミットが近いことを如実に物語っているように見える。

しかし、世界を見渡してユーロ救済のために大金を拠出できる主体はECB以外に考えられない。

ECBが大金を拠出するケースをいくつか考えてみた。

Ⅰ. ECBが直接周辺国債券を無制限に買う
Ⅱ. ECBがIMFに資金拠出してIMFがユーロ圏を支援する
Ⅲ. EFSFを銀行化してECBが資金拠出を行う
Ⅳ. EFSFの保障型レバレッジ案で発行された債券の大部分をECBが買う

どれも、結局はECBがお金を出すというものだ。
ECBのバランスシートが傷つかないという観点で見ると、ⅡのIMFを通しての支援が最もやりやすいように思う。しかし、それにはアメリカの許可が必要だろう。
ⅠとⅢに関しては既に案が出ているがドイツが嫌っている。
Ⅳはとりあえず話を進めて、ECBの選択肢を1つに絞ってしまう(追い込む)という案だ。ちなみに、これは僕が勝手に考えた案である。

どの案にせよ、ECBが全面支援のコミットメント姿勢を見せる必要があり、直近の欧州危機の注目はその1点で良いのではと思う。

ちなみに2の財政移転でもECBが大きな役割を担うと考えている。
その理由は以前の記事を参照してもらいたい。

このようにユーロの命運を握っているのはECBであり、ECBのスタンスに関するニュースのみが重要な話であり、それ以外のニュースは雑音だと言ってしまっても言い過ぎではないように思う。もちろんECBのスタンスにはドイツの意思が深く関わっているのでECBというワードだけを追っていても仕方ないが。


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