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日経新聞でのアルバイトを通じてわかった社畜という働き方

昔の話になるが、僕は学生時代に日経新聞でアルバイトをしていた。
新聞社でアルバイトと言うと、多くの人が新聞配達?と聞いてくるが、そうではない。
編集の手伝いという名の雑用をやっていた。
ただし、雑用といっても、電話をとったりFAXを送ったり、かなり楽な仕事だった。

あまり関係ないが、僕がこのアルバイトを始めたきっかけは以下の理由からである。

・仕事が楽
・時給が高い(時給1500円~2000円、時間帯により変わる)
・デスクからご飯をおごってもらえる
・タクシーで帰れる(今は知らないが僕がやっていた時代はバイトもタクシー帰りだった)
・明日の新聞を読める
・雑誌読み放題

など。
学生時代から経済・金融ネタが好きだった僕にはもってこいの仕事だった。

アルバイトで働くにはもってこいの職場だったが、僕は社員の働きぶりを見て絶対に新聞社では働きたくないと強く感じた。
今思えば、あれこそが社畜だと思う。

どこの新聞社もたいては同じ仕組みだろうが、僕の働いていた日経新聞経済部では、デスクと呼ばれる人(普通の会社で言う課長くらいの人)が本社に待機し、各分室の記者が一日中飛び回り取材し記事を書く。
記者はデスクに記事を送り、何度も訂正が入り、またはボツになったりを繰り返し、自分の書いた記事が新聞に掲載されることを目指す。
デスクは、例えば経済部のデスクは経済面を担当するわけだが、記事の構成や内容を考えながら、新聞を作っていく。

新聞には版というものがあり、たしか14版くらいまであった気がする。
版ごとに締め切りが決まっており、配達に時間のかかる地域(所謂、田舎)には若い版しか配達されない。
最終の14版の締め切りは、たしか午前1時過ぎくらいだった気がする。
通常、スクープなどは他社にばれないようにするために、敢えて若い版には掲載せずに、14版だけに掲載する。
なので、田舎の新聞と都心の新聞では、同じ日の同じ会社の新聞だったとしても一面が違うことはざらにある。

余談がかなり入ってしまったが、アルバイトだった僕は、ここでデスクと記者をつなぐ仕事をしていた。
具体的には、デスクが「●●(記者の名前)を呼べ」と言われたら、その記者に電話をするし、「●●にこれにこれを送れ」と言われれば、記者のいる分室にFAXをした。
もしくは、記者から電話が入ればデスクに繋げることもする。

まず新聞記者が社畜だと思った理由は、デスクの呼び出しがあれば24時間動き出さなければいけないからだ。
例えば、記者が有給休暇を取っていた時、僕はデスクから休みをとっている記者を呼べと言われた。僕は言われるがままに記者に電話。繋がらなければ家の電話に電話する。
もしくは、記者が旅行しているならば、その滞在先のホテルに電話をする。
もちろん、記者は旅行に行く際は、詳細な旅行スケジュールと滞在先ホテルを事前に知らせておかなければいけない。
もし、記事を送る必要があるのなら、自宅でもホテルでも記事をFAXする。

デスクの命令は絶対なのである。

僕がバイト終わりに記者に誘われてご飯に言った時でも、デスクからの呼び出しがあり記者はすぐに店を出て分室に戻っていった。


バイト時代の感覚なので正しいかはわからないが、新聞社というのは経済部、政治部、金融部が出世コースのように思えた。
優秀な記者は、上記3部を転々としながら役職を上っていきデスクになる、というのが一般的な出世コースのように思えた。

出世コースから外れると、地方の支社に飛ばされたり、経済新聞社なのにエンタメ系の部署に飛ばされたりしていた。
地方に飛ばされた記者がダンボールに荷物をつめている哀れで寂しそうな表情は今でも忘れられない。

ただし、エンタメ系の部署に飛ばされた記者は、異動前はかなり落ち込んでいたが数ヵ月後にたまたま遭遇した時には、辛い競争から解放されたからか、かなり活き活きしていたように思える。


ここまで書いて、僕は記者という仕事はまったく良くないと自分では思っているが、デスクになれれば今までの苦労が報われるのではないか、と思う読者も多いだろう。

たしかに、すでに洗脳された社畜にとって、デスクになれればかなり幸せかもしれない。
しかし、バイトの僕にとってはそれは「井の中の蛙」でしかなかった。
たしかに、記者に比べればデスクは100倍くらい幸せだろう。

しかし、思い出してほしい。
新聞の最終版の締め切りは夜中の1時過ぎだ。
その時点で、帰宅時間が普通では考えられないくらい遅いことは想像できるだろう。
デスクは40代以上がほとんどだが、その年齢ではかわいい子供もいるだろう。
しかし、子供がそんな時間まで起きているはずがない。

また、新聞は土曜日も日曜日も発行される。
デスクが紙面の構成を考えるのだから、デスクであっても土日出勤は普通に存在する。

地獄の記者時代からデスクに昇格できたとしても、普通の人から見ればかなり不幸な生活だと僕は思う。
往々にしてサラリーマンというのは、自社の中で比較するものだ。
記者に比べてデスクは幸せなのだから、デスク自身は幸せなのかもしれない。
しかし、それを幸せと思ってしまう時点で社畜なんだと僕は思う。

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