Entries

ESMでのスペイン支援が実行されれば、欧州危機は大きく前進する

久々に欧州関連のエントリーだ。
当初、欧州の分裂は避けられないと思われるほどひどい状況だったが、今や統合に向けた動きが鮮明になってきている。
まだスペインは支援を要請していないが、ESMでスペインを支援すれば、欧州問題はかなり大きく前進し統合へ向かう動きは揺るぎないものになると判断せざるをえない。

もちろん、まだESMでスペインを支援することが決定されたわけではなく、支援実行にはいくつかハードルがあることを理解しておく必要があるが。


さて、なぜESMでスペインを支援することが、欧州危機が大きく前進することになるのか?

それは、ESMでスペインを支援するためにはそれなりに厳しい緊縮財政を実行しなくてはいけないこととなっており、つまりそれはスペインの財政主権が奪われることを意味する。

ドイツが目指す欧州統合のモデルは、各国の財政主権を奪い、ドイツが各国の財政を管理可能な状態にした上で、欧州共同債などドイツのお金も分配する仕組みである。

間違ってもギリシャのように、支援先行で支援してみたら緊縮財政を実行してませんでした、というような状況にはならないはずだ。

ESMはEFSFと違い、出資ベースで議決権が割り当てられている。
もちろん最大の出資国はドイツである。
つまり、ドイツがスペインの緊縮案を承諾しない限り、ESMでスペインへの支援が実行されることはない。たとえ、スペインが支援要請をしたとしても、ドイツがスペインの緊縮案が甘いと判断すれば、支援は実行されない。

マーケットでスペイン国債が売られるなど、スペインが追い込まれれば追い込まれるほどスペインは自力では資金調達ができなくなるので、支援を実行してもらうためにドイツが要求する緊縮案を実行しなくてはいけなくなる。つまり、スペインは選べる選択肢が非常に少ないのだ。
これこそが、財政主権を奪うことであり、欧州統合の大きな一歩である。
そして、ESMでの支援実行は、つまり、スペインの財政主権が奪われたこと、そして欧州統合が大きく進んだことを意味するのである。


思うに、スペインが追い込まれれば追い込まれるほど、スペインの立ち位置が悪くなる状況は完全にドイツ優位である。
この状況で、ドイツが甘い緊縮案に合意するとはあまり思えない。ギリシャで痛い目にあってるだけに、スペインのケースでは徹底的に追い込むだろう。

つまり、スペインが支援要請をしてから支援が実行されるまでに、欧州問題はもう一波乱二波乱あるかもしれない(ドイツがスペインの緊縮案を承諾しないなど)。
しかし、それは欧州統合に向けた波乱と考えるべきだろう。

唯一のリスクは、スペイン国民がギリシャ国民のように暴れ狂い既存政権が倒れてしまうことだ。
その可能性も決して少なくないだろう。

================================
よりマーケットに近い情報を有料(30日で315円)で配信しています。
詳しくはこちらを参照して下さい。

Use trackback on this entry.
http://globalmacro.blog.fc2.com/tb.php/178-83202cb4

Trackbacks

Comments

[C67] Comment is pending approval.

Comment is pending administrator's approval.
  • 2014-07-01 06:58
  • Edit

Post a comment

Post a comment
Only the blog author may view the comment.