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不確実要素が多い中でのオプションの有効性

現状のマーケットでは、Fedによる追加緩和があるのかないのか、EUのスペイン救済の緊急策がいつ出てくるのか、など一瞬でマーケットの様相をがらりと変えてしまうような要素が多く存在しており、ちょっとした噂や発言に敏感に反応してしまう展開となっている。

このようなマーケットは、僕のようなトレンドフォロワー型のトレーダーには不向きであり、利食いのタイミングを逃して昨日まで評価益だったポジションが一瞬にしてロスカットを食らうなんてこともありえる。

逆に、スキャルピングと言われるような超短期(数分~数時間)でトレードしているようなトレーダーにとってはもってこいの相場なのかもしれない。

僕のようなトレンドフォロワー型のトレーダーにとって、このような相場で有効なのはオプション取引である。
基本的に相場ではデルタと呼ばれる相場の方向性にベットするリスクで収益を取ることが多いが、オプション取引ではデルタに加えて、ガンマ、ベガ、セータというリスク要素が存在する。
各要素の簡単な説明は最下部に記載したので参考にして頂きたいが、ガンマロングであれば方向に関係なく原資産価格が一方向に動けば動くほど利益が上がり、ベガロングであればボラティリティが上がれば上がるほど利益が上がる。

オプションを買うということは、(通常)ベガとガンマがロングになるということなので、相場が方向関係なく上に下にと大きく動けば利益が上がることになる。逆に、オプションを買うということはプレミアム(オプション価格)を支払うということなので、相場が動かなければ(ガンマとベガで利益が上がらなければ)、毎日損をしていくことになる。

通常、オプションを取引する時は以下のようなマトリックスを自分で作ってリスク管理を行う。


(出所)筆者作成

これはAUDJPYのAUDプットJPYコール ストライク79円、期間1ヶ月のオプションを買った時のマトリックスである。

図の見方は、一番左の列のスポットの欄が、原資産、つまりこの場合AUDJPYの価格であり、その右側にスポット価格に対応するデルタ量やガンマ量、時価評価額などが表示されている。グラフの構造は個人個人異なるだろう。

このマトリックスを作っておけば、スポット価格が動いた時にリスク量がどう変化して、自分がどのくらい儲かるのか損するのかが瞬時にわかる。

例えば、このマトリックスの場合、今のAUDJPYのスポット価格が80.612円である。その時のデルタ量は196,765AUDであり、デルタはとても小さい。
何かのニュースによりスポット価格が1.2%上昇して81.579円まで上昇した場合、ガンマがプラスなのでデルタ量が3,141,357AUDまで増える。そしてその時の時価評価も増え約160万円の評価益が出ることになる(一番右の列参照)。

逆にスポット価格が1.2%下がって79.645円になった場合でも、ガンマがプラスなので、デルタ量が減り約140万円の利益となる。

その代わり、セータがマイナスなので、このオプションをもっていれば、日々約50万円の減価が起こり、スポット価格が変化しなければ毎日50万円程度の損が出ることになる(セータの値も毎日変化する)。

このようにオプションを買っていれば方向関係なくスポット価格(原資産価格)が大きく動けば利益が出ることになるので、今の相場のようにこの先不確定要素が多く相場が大きく動く可能性がある場合はみんなが買いたがる。

事実、AUDJPYのボラティリティを見ると最近の下落傾向がこの数日間で反発しているのがわかり、多くの人が今後の相場に警戒感を抱きオプションを買って備えようとしている動きがみてとれる。


(出所)Bloombergより筆者作成


(リスク要素の簡単な説明)
ガンマ:原資産価格の値動きによって変化するデルタ量、つまり、ガンマロングならば原資産価格が上がればデルタが増え、原資産価格が下がればデルタ量が減る。よって原資産の価格が一方向に動けば動くほど利益は雪だるま式に増えていくことになる。

ベガ:ボラティリティ(Vol)の変化率に対する利益の変化

セータ:(残存)期間の変化に対する利益の変化

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  • 2017-04-06 19:56
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