Entries

長い道のりの単なる一歩だが、歴史的な一歩となったEUサミット

先日行われたEUサミットは、長い道のりのおける単なる一歩だが、正しい方向へ歩み始める歴史的な一歩となった。

マーケットは今回のEUサミットにもほとんど期待をしていなかったことから、この小さな一歩は大きなサプライズとなり、リスクアセットは大きく買い戻された。

EUサミットで決定されたことは以下の5点である。
① 1,200億ユーロ程度の成長支援策
② ECB主導による域内統一の銀行監督メカニズムを年内に検討すること
③ 統一銀行監督メカニズムの設置後は、ESMが銀行に直接資金を注入できるようになること
④ スペイン向け融資の優先権の破棄
⑤ EFSF/ESMを効果的かつ柔軟に用いること

この5点のうち、最もサプライズであり欧州が正しい方向に歩みだしたと思えるのは、ESMによる銀行への「直接」支援を許可する、という内容である。
ESMは無論欧州の公的機関であるが、過去これまでは欧州の公的機関が個別国のリスクを請け負うことはほぼなかった。ギリシャ国債の債務借り換えの時もECBだけは例外扱いされて、一般投資家が追った75%の損失を免れている。

ESMが銀行に直接支援するということはESMが直接個別リスクを負うということになる。
また、スペイン向け融資で優先権を破棄するということは、ESMの保有する債権は一般投資家の持つ債権と同等に扱われることを意味する。

欧州危機解決のために欧州が向うべき道は「財政統合」である。
財政統合の最終GOALは「欧州財務省の設立」と「欧州共同債の発行」と位置づけることができる。

最終GOAL「欧州共同債の発行」まではまだまだ長い道のりであるが、今回の決定はGOALへ向う確かな一歩となったはずだ。
また、この一歩を踏み出したということは、ドイツの姿勢がGOALに向けられているという意思表示と受け止めることができる。
今まで確信が持てなかったドイツの意思が感じ取れたことはマーケット的にとても大きなことだと考えられる。

ただし、これで万事上手く事が運ぶと思ってはいけない。
まず、域内統一の銀行監督メカニズムは年内に「検討する」ことが決定されただけである。
さらに直接支援の条件はこの域内統一メカニズムの設置である。
その他、EFSF/ESMからの支援方法の具体策も決定されておらず、具体策を巡って中核国間での意見の不一致も散見される。

欧州はたしかに正しい一歩を踏み出したが、GOALまでの道のりはまだまだ残されており、その途中で多くの苦難が待ち受けていることは忘れてはいけない。

================================
よりマーケットに近い情報を有料(30日で315円)で配信しています。
詳しくはこちらを参照して下さい。

Use trackback on this entry.
http://globalmacro.blog.fc2.com/tb.php/132-6031994e

Trackbacks

[T15] まとめtyaiました【長い道のりの単なる一歩だが、歴史的な一歩となったEUサミット】

先日行われたEUサミットは、長い道のりのおける単なる一歩だが、正しい方向へ歩み始める歴史的な一歩となった。マーケットは今回のEUサミットにもほとんど期待をしていなかったこと

Comments

[C52] Comment is pending approval.

Comment is pending administrator's approval.
  • 2014-07-01 06:36
  • Edit

Post a comment

Post a comment
Only the blog author may view the comment.