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ECBを経て延長戦へ突入することが明確になった欧州危機

欧州危機は、既に何度も延長戦が繰り返されているが、先日のECB会合を見る限り延長戦はさらに長引く模様だ。

欧州危機を改善でき得る主体は限られている。
現実的に考えられる主体の中で言えば、ECB・ドイツ(中核国)・IMFくらいだろう。
もちろんこれらの主体が単体で動くわけではなく連携しながらアクションを起こすことも可能ではあるしそちらの方が現実的である。
要は、周辺国が抱えるリスクを肩代わりできお金を拠出できる主体だけが欧州危機にポジティブなアクションを取ることができるわけだ。

先日のECB会合後のドラギ総裁の会見を聞く限りECBが率先してアクションを取る可能性は低いことが確認された。つまり、欧州危機はまだまだ長引くということだ。
具体的に注目される発言は
「他機関の行動の欠如をECBが埋めるのは正しいことだとは思わない」
というものだ。

乱暴な言い方をしてしまえば、ECBは「ドイツがやるべきだ、IMFがやるべきだ」と他人任せな発言をしているわけである。
精神論的な観点から欧州危機解決のために不足しているものといえば「犠牲心」であるが、この「犠牲心の欠如」は全く改善されていない。

さて、さきほどの「他期間の行動の欠如をECBが埋めるのは正しいことだとは思わない」という発言であるが、どういったくだりでの発言かを考えると、さらに興味深いことがわかる。
ドラギ総裁のこの発言は、記者からの「3年物LTROの追加実施は危機対応になるか?」という質問に対しての返答の中で言われている。

ここで1つ考えられることは、ドラギ総裁がECB総裁に就任して満を持して投入した3年LTROの第3弾の可能性は大分低くなったということである。

ECBのバランスシートが悪化する3年LTROにドイツが反対しているのは有名な話であり、ドイツの反対を押し切って3年LTROを2度も行ったドラギ総裁は一定の評価があってもいいのかもしれない。
しかし、さすがに3回目を行うことは難しいようだ。


記者との質疑応答の中で他にも面白いやりとりがあった。
(記者)経済にダウンサイドリスクがあるのならば、なぜ利下げを行わなかったのか?
この質問に対してドラギ総裁は
「名目金利と実質金利は非常に低い。ユーロ圏の大半の市場では機能不全と分断化が発生している。こうした背景に影響を及ぼし得るのは主として量的シグナルである」。
と返答している。

つまり、利下げの効果は低いとドラギ総裁は考えている。
たしかにEONIA(Euro OverNight Index Average、ユーロ圏のオーバーナイト金利)は今年に入って0.4%以下、直近では0.31%程度で推移しているので、利下げの効果が限定的だろう。

量的シグナルが重要と答える一方で、3年LTROの実行は難しい、たしかにECBのとれる選択肢は限られているように思える。
現状で考えられるのは、SMPによる周辺国債券の買い入れである。
ただし、ドラギ総裁はSMPに対しても「一時的」であり「永続的」に行うものではないと発言している。
一部で挙がっている「無制限の」周辺国債券の購入は現時点ではなしということである。


決してドラギ総裁がユーロ圏の危機を解決したくないわけではないと思うが、様々なしがらみによりECBは救世主の立場に立てないことを、今回のECB会合では如実にあらわしていたと考えられる。

欧州危機はまだまだ続くことになるだろう…

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