Entries

バブル後の日本と今のスペインを比較して今後のEUを考察する

今、欧州は表面化しているものだけで、大きく3つの問題に直面している。
①ギリシャのユーロ圏離脱問題、②スペインの資本不足問題、③財政協調(統合)の問題である。

この中で、今日はスペインに焦点をあててみたいと思う。
僕は、バブル崩壊後の日本と今のスペインはなんとなく似ている点があるのではないかと肌感覚ながら思っていた。
そこで、まず2国の代表的な株価指数を見てみよう。


(出所)Bloombergより筆者作成

日本の日経平均はご存知の通りバブル期に4万円に迫る勢いで上昇し、バブル崩壊と共に日経平均も値を崩し今では1万円を回復すればかなり上昇したという感覚になってしまった。バブル期の高値からバブル後最安値の下落率は実に▲82%である。

一方のスペインを見てみると、リーマンショック前に高値15,897.30を記録した後先週末までに6,357.10まで下落している。この間の下落率は▲60%である。

日本のバブル崩壊後に起こったことといえば、不動産価格の大暴落と銀行への公的資金投入である。
スペインでも不動産市場はバブルを形成しており、住宅価格は大暴落している。
また、先日のニュースであったように、スペイン政府はバンキアというスペインの銀行に公的資金を投入した。おそらく、スペインの銀行の資金不足の問題は今後も続くだろう。

ここまで見てみると、今のスペインの状況はバブル崩壊後の日本とたしかに類似点が多い。ここで気になるのは、スペインの今後である。
日本はバブル崩壊後、失われた20年を経験し、未だにそのサイクルから抜け出せていない。
スペインもこれから日本同様失われた時代を過ごすことになるのだろうか?

答えは未来にならないとわからないが、僕の考えだと答えはYESである。
もっと正確に言うと、日本よりひどい時代がスペインには待ち受けているのではないだろうか。

日本とスペインでは共通点も多いが、異なる点も相応にある。
それは、当時の日本が大幅な経常黒字だったのに対して、今のスペインは経常赤字であるということ。そして、当時の日本はCPIが大幅に下がってデフレに突入したが、今のスペインは以前CPIが前年比1%を越えているという点である(各数字は以下チャートにて掲載)。


(出所)財務省より筆者作成


(出所)スペイン銀行より筆者作成


(出所)総務省、スペイン国家統計局より筆者作成
※2002年より前のスペインのCPIデータを入手できず

グラフを見てわかる通り、日本の経常収支はバブル崩壊後も一貫して黒字を維持している。
一方、スペインの今の経常収支は大幅に赤字である。
日本の大幅な経常黒字はアメリカとの貿易摩擦を生み、G7の間では「円安は世界経済にとって害」という共通理念の下、大規模なドル売り円買い介入が実施され、ドル円は大幅に下落(円高)した。
こうしたデフレ化政策の効果(?)もあり(もちろん構造的な問題も大きいが)、日本のCPIはマイナス圏へと下落していき、また日本の金利は長らく超低金利で推移している。

今のスペインに目を向けてみると、大幅な経常赤字であるが、統一通貨であるが故に通貨安政策をとることができず、またEUの実質的リーダーであるドイツの意向で政策金利を下げることもできていない。EUという経済圏に加盟しているが故に、なかなか物の価値は下がらずデフレ化がなかなか進まない。
このような状況で、スペインの長期金利はご存知の通り危機的水準まで上昇している。

日本とスペインの状況を俯瞰して見ると、低い成長率が長年続き、株が大きく下落し、暗い時代のように見えるが、細かく見ると、日本の場合低い成長率に合わせてデフレが進行し物の値段が下がることで、国民生活が立ち行かなくなることはあまりない。
一方のスペインの場合では、低い経済成長率でありながら、デフレは進行せず物の値段は高いまま、一方で住宅価格は下落するので国民が保有している資産価値は目減りしていく、という国民生活に支障をきたす状況になっている。

日本の状況はデフレだが、スペインの状況は所謂スタグフレーションである。

ここから1つ言えることは、経済危機局面では「デフレ化」政策が有効であるということである。
しかし、EUに加盟しているスペインはデフレ化政策を採用する手段は存在しない。
このまま事が進むならば、スペインには日本以上の悲惨な未来が待ち受けているだろう。
「失われた時代」ではなく「破滅の時代」とでも言えようか。


さて、この問題は決してスペインだけの問題ではなくEU全体の問題である。
冒頭に書いたとおり、今の時点で表面化している問題は3つあり、ギリシャの問題とスペインの問題と財政協調の問題である。
重要なのは、ギリシャの問題とスペインの問題は別物であり、ギリシャが解決したからと言ってスペインも解決するという問題ではないことである。

EUは解体という選択肢を取らず今の体制を維持していくならば、EUが「デフレ化政策」を行う必要があるだろう。
そうなれば、「破滅の時代」は回避し「失われた時代」へ突入することができる。

そう、どう転んでもEUの未来は暗いということである。

================================
よりマーケットに近い情報を有料(30日で315円)で配信しています。
詳しくはこちらを参照して下さい。
Use trackback on this entry.
http://globalmacro.blog.fc2.com/tb.php/113-d429ef32

Trackbacks

[T9] まとめtyaiました【バブル後の日本と今のスペインを比較して今後のEUを考察する】

今、欧州は表面化しているものだけで、大きく3つの問題に直面している。①ギリシャのユーロ圏離脱問題、②スペインの資本不足問題、③財政協調(統合)の問題である。この中で、今

Comments

[C44] Comment is pending approval.

Comment is pending administrator's approval.
  • 2014-07-01 06:28
  • Edit

Post a comment

Post a comment
Only the blog author may view the comment.